住職法話「仏法こそ人生の宝物」

仏法はお釈迦さまの説法が初まりです。既に2500年を経て今も変わらず、人々に影響を与え続けている尊い言葉です。お釈迦さまが直接お話しになった言葉は「金口の説法」といいます。何よりも貴重だという事とともに、輝き、どんな物質にも変化しない強さもある金に例えられる、その言葉に出会えることは、私達の人生を大きく変えることでしょう。

 お釈迦さまがお亡くなりなったときの様子を描いた図を「釈迦涅槃図」といいます。皆さんもご覧になったことがあるのでは無いでしょうか?

 色々なパターンはあれども、共通するのは、お釈迦様は沙羅の二本の木の間に頭を北にお顔を西に向ける頭北面西で横たわっておられます。そしてその前には、お弟子方と共に王様や貴族の方々、そして色々な人々が一同に座っています。さらにその外には動物たちから、ミミズや虫までが描かれ、そのすべての者が涙を流しているのです。

 この絵を見てあるとき住職の先輩住職が山口県出身の深川倫雄和上にこんなことを言われたそうです。

「和上様、この絵には位や立場を越えて人々が泣いているように描かれています。でもさすがにミミズや虫までもが泣くのはちょっとオーバーに描いたんでしょうね。」と、すると和上はしばらくその絵を見つめて、

「君も努力をして2500年程生きてみるがいいよ。そうしたらきっとミミズや虫までもがその死を悲しむほどの尊い人に会えると思うよ。ミミズや虫が泣くはずは無いというのは人間のつまらない知恵で出来た世間の話じゃないか。仏法は金口の説法だよ。私の価値観を全く変えてくださる尊い言葉なんだ。その言葉に我々はいま出会えているんだ。そうミミズや虫までもが涙を流したような尊い方の言葉を中心に人生を歩むことが出来るんだ。」と言われたそうです。先輩はハッとしたといいます。

 過去は閉ざされた世界です。その事実は絶対に変わることは無いでしょう。でもお釈迦さまの説法に出会うことで、その意味は変わっていきます。それが尊い輝く人生に変えてくださるのです。

 お釈迦さまの説法に出会って、苦しむことは絶対にありません。喜びの人生が待っています。ぜひお寺の法座にお越しください。