仏事・参拝・住職コラム(法話)
・宗教が開く幸せの世界
安倍元総理が凶弾に倒れ、安倍元総理とそのご家族におくやみ申し上げるとともに、テレビ等では容疑者が犯行に至るきっかけとなった、旧統一教会を巡る問題が取り上げられています。見ていて思うのはかつてオウム真理教事件というのがあって、世間がひとくくりに宗教は怖いと位置づけた事がありましたが、今回もそのようになるのでは無いかと心配です。そこで今回の旧統一教会事件の問題点を整理しておきたいと思うのです。
まず容疑者が教団に恨みを抱いた原因となる母親の教団への献金問題です。みなさんはどうしてそんな高額なのか?おかしいと思わなかったのか?と思われると思います。
しかし昔から全財産を寺社仏閣に寄付したということはよくあります。最近でもフランスでノートルダム大聖堂が焼失しましたがすぐに多数の多額の寄付が発表されていましたね。その事と容疑者の母親とは何が違ったのでしょうか?それは母親がお金を教団にお供えしても、周りの人はそれが母親の為に成っていないと感じていたからです。しかしそれでも母親は教団にお金を注ぎ込んでいったのは何故でしょうか。想像ですがそこにしかこの人の居場所が無かったのではないでしょうか。家庭環境が原因とすると、この点について教団には問題があったとは思わないのです。逆に何故こんな高額な寄付金をする時に家族は止めなかったのでしょうか?そういう身の回りの境遇の人が日本では沢山この教団に入信している様にも思います。
もうひとつは安倍氏への直接の恨みを抱いた教団の有名人の広告利用です。実はこれは新興宗教には常套手段なのです。付属高校のスポーツクラブを強くしたり、マスコミを利用したり、とりあえず安心感と知名度を上げる事は、元々信者がゼロから出発する新興宗教には、不可欠な事なのだと思います。ただその手段が他の宗教団体に比べたら、極端な印象があります。
住職が宗教家の立場として今回の事件で見えてきたのは、旧統一教会には社会性が乏しかったのではないかということです。宗教心といものは当事者以外にはなかなか理解して頂くことは難しいものです。だからこそ、世間との対話や平等な目線での宗教活動が大切です。
そのうえで世界中の宗教がひらく心豊かな社会が実現されることを願い、勝圓寺においても聞法と相談を中心に活動をしたいと思います。